助産師は女しかなれない。

完全な女の世界である。

だからか、同性である女性には結構厳しい。

例えば、陣痛で叫ぶ産婦に対して、

"絶叫分娩だった(笑)"

みたいな申し送りは結構ある。

その人は分娩経験がなかったり、

自分自身が安産で余り時間がかからなかったりした助産師に多い。

"あんな声出して、我慢できないの？"

そういうスタッフ同士の申し送りは冷笑の空気が漂う。

…自分の物差しで物事を語るなっつーの。

陣痛が痛くない訳ねーだろって。

騒いだら駄目な分娩で、静かだっからいい分娩か？

そんなのはスタッフの勝手な思い込みだ。

騒いでも別にいいんじゃね？

それで、母児が無事なら。

そう思っても、パルトグラムにはみんな、

"陣痛時に絶叫していて指示を聞かない"って書くんだよなぁ…

因みに私は書いたことがないが。

指示なんかしなくても、児心音さえ下がってなければ好きにさせておけばいいんじゃね？

最初に勤務していた病院で、一年目のとき。

入院の担当だった私に、入院した妊婦さんが言った一言目がそれだった。

「…へ？」

私は変な返事をした。

「だから、喫煙所。タバコはどこで吸えばいーの？」

聞き間違いかと思ったがやはり私の耳はおかしくはなかったらしい…(今はよくCTGが落ちたときの警報音が家で聞こえる幻聴の持ち主)

「…病院にはありませんが…」

私はまだ一年目で生真面目な性格だったためか真面目に答えた。

「じゃあさぁ、どこでタバコ吸えばいい訳？」

「…は？…えーと……」

どこと言われても…貴女の脳内で？

「…ない訳？！」

「…はぁ…ありません…」

私は何故か頭を下げていた。

すると舌打ちされ、

「つかえねー」

とつぶやかれた。

確かに私は一年目の助産師でまだまだ使えない人間ですが、ばれましたか？

そういえば貴女、入院理由、IUGRじゃありませんでしたっけ？

貴女、小さく生んで大きく育てるおつもりですね？

どうみてもIUGRの原因、貴女のモクモク(死語)ですから。

胎児の首絞めて、そんなに嬉しい？





とか今になって毒を吐いてみた。

あのとき生まれた女の子、今は元気かなぁ…

親子二代でモクモク中毒になっていませんように…(祈